必須脂肪酸のリノール酸は, 培養メラノーマ細胞のメラニン生成を抑制する作用をもつ。メラニン生成酵素であるチロシナーゼの活性はリノール酸により抑制された。しかしながら, チロシナーゼmRNA量はほとんど変化せず, リノール酸のメラニン生成抑制作用はチロシナーゼ遺伝子転写後の調節によると考えられた。さらに, リノール酸はチロシナーゼの分解を促進することが明らかとなり, その結果としてメラニンの生成を抑制していることが示唆された。また, リノール酸はリポソーム化することによって水溶性製剤中でも安定に存在し, 経時的に角層下へ浸透することが確認された。リポソーム化リノール酸配合製剤を用いて肝斑を対象とした使用試験を実施したところ, 高い有用率が認められた。リポソーム化リノール酸は皮膚美白剤として有用であることが示唆された。