日本化粧品技術者会誌
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毛髪物性に関する研究2
毛髪のねじり応力評価法と応力の作用機序
安田 正明曽我 部敦野田 章
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2002 年 36 巻 4 号 p. 262-272

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抄録
毛髪のハリ・コシ感は, いくつかの物理特性が要因となっているが, 曲げられたときの硬さの他に, ねじられたときの硬さも重要な物理特性である。したがって本研究では, ねじり応力について材料力学的見地から, 剛性率による評価を試みた。レーザー光を利用した毛髪径測定装置により毛髪径を正確に測定した上で, ねじり応力を測定し, 毛髪の剛性率を調べた。また, 物理的にキューティクル層を剥離させたコルテックス部分のみからなる毛髪の剛性率測定を行い, 材料力学的な解析によりキューティクルの剛性率を算出した。ねじりモーメント測定により得られた剛性率から, キューティクルはコルテックスの3.5倍程度硬いことがわかった。また, キューティクルのねじり応力への寄与率は, 全体の約6割に達し, 曲げ応力同様に, ねじり応力の発生はキューティクルが重要な役割を担っていることを見出した。さらに, 剛性率に対するヤング率の比は11.94で, 均質性の物質に比べて非常に大きく, キューティクルおよびコルテックスが, 複雑な内部構造を持った複合材料であるためと考えられた。
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