2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン (MPC) とステアリルメタクリレート (SMA) とのランダム共重合体 (PMS; Polyquaternium-61) を用いて, 自己会合現象を利用したナノ粒子形成について検討した。PMSの多価アルコール溶液を温水に希釈することにより, 平均粒径が50nm以下のPMSナノ粒子を得た。また, 界面活性剤との複合化により, 粒径がほぼ同じで表面電位だけを変化させたアニオン化およびカチオン化PMSナノ粒子を得た。人工的にダメージを加えた毛髪をカチオン化PMSナノ粒子の希釈液で処理したところ, X線光電子分析から毛髪表面に対するPMSの均一な吸着が確認された。また, 蛍光物質を内包化させたカチオン化PMSナノ粒子を用いてダメージ毛髪を処理し, 蛍光顕微鏡観察を行ったところ, PMSが毛髪表面だけでなく内部にまで浸透・吸着したことがわかった。このほか, PMS処理によるダメージ毛髪表面の再疎水化効果, キユーティクルのリフトアップ抑制効果, 表面摩擦低減効果, 帯電防止効果ならびに褪色防止効果が確認された。