柔道はオリンピックの格闘技種目であり、高強度の間欠的努力によって対戦相手を投げ、抑え込み、「参った」をさせることを特徴とする。一流のコーチによると、競技のカギを握る重要なパフォーマンス指標のひとつは神経筋系のパフォーマンスである。柔道では、対戦相手との組み手争い、高い技術を要する投技、および動的筋活動や等尺性筋活動によって相手の動きを制する寝技など、神経筋系に高い要求が課される。そのため筋力が強ければ、同等の技術をもつ選手よりも有利に試合を運ぶことができる。本稿はこの点に注目して、様々なタイプの筋力が柔道のパフォーマンスに果たす役割を検証し、神経筋系の特性を基にエリートレベルの柔道選手のトレーニングの指針を示す。