脳卒中の外科
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原  著
術中脳血管撮影を用いた,脳動静脈奇形(AVM)摘出後のnormal perfusion pressure breakthroughやocclusive hyperemiaの発症リスクについての検討
梶原 壮翔河野 隆幸青木 孝親折戸 公彦牧園 剛大藤森 香奈大久保 卓菊池 仁古田 啓一郎廣畑 優森岡 基浩
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2022 年 50 巻 3 号 p. 205-211

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抄録

脳動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)摘出後に出血や脳浮腫を起こす現象として,normal perfusion pressure break-through(NPPB)やocclusive hyperemia(OH)という概念が報告されている.しかし,これらの発症の機序については不明な点が多く,必ずしもSpetzler-Martin gradeとは一致しない1).AVM摘出時の術中脳血管撮影検査(intraoperative angiography:IOA)やSPECTの所見の変化とNPPBやOH発症のリスクについて検討する.

2016年12月から2018年10月までに脳血流検査(123 I-IMP SPECT)およびIOAを併用しAVM摘出術を行った11例を対象にした.未破裂 6例,破裂 5例で,nidusのサイズは平均20.8mm,drainerの数は平均1.9本であった.手術ではIOAを併用し完全摘出を確認し,術翌日のSPECTでNPPBやOHが疑われる場合は厳重な血圧管理を施行した.

SPECTで有意な所見を示したのは未破裂 3例,破裂 1例であった.これらの症例では摘出直後のIOAで盲端となったfeederに造影剤の停滞を認め,wash outまでに時間を要していた.術後厳重な血圧管理を行うことで,NPPBやOHが疑われる症例においても出血合併症は認めず,術前のmRSと比較し増悪した症例はなかった.

IOAでfeederに造影剤が停滞する所見はNPPBやOH発生のリスク評価に非常に有用であり,術後管理に役立ち,術後合併症を減らすことができると考える.

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© 2022 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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