脳卒中の外科
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側脳室近傍の脳動静脈奇形に対する治療戦略 ─視野障害の視点から─
岸田 健吾岡 英輝市橋 碧阪本 真人武澤 秀理横矢 重臣
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2024 年 52 巻 2 号 p. 140-146

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抄録

脳動静脈奇形(AVM)の治療では,nidusやfeeder,drainerの位置に基づいて,術前塞栓や手術アプローチについて入念かつ複合的な治療方針の検討が必要である.側脳室近傍に存在する動静脈奇形の治療には視野障害や言語機能障害のリスクが伴う.2010年1月から2022年9月に当院で外科的手術を行った動静脈奇形41例のうち,側脳室近傍に病変が存在し,術前塞栓および外科的摘出を行った3例について,おもに視野障害の視点から,画像所見や治療方針や機能予後をまとめた.

いずれの症例も出血発症であったが,症状は頭痛や嘔吐のみで明らかな神経症状を有さなかった.全例でOnyxを用いて術前塞栓術を行った.症例1:左側脳室三角部外側の病変.nidusの底部から流入するfeederを摘出術中の最深部の指標とする目的で塞栓し,Viewsiteを用いてhigh parietal approachで摘出した.術後に右同名半盲を認めたが,2週後には改善傾向であった.症例2:左側脳室三角部の病変.塞栓術後,Viewsiteを用いてoccipital transcortical approachで摘出した.術後半盲を生じたが,半年の経過で改善傾向を示した.症例3:左側頭葉内側の病変.塞栓術後,subtemporal approachで摘出した.視床外側に脳梗塞を生じ,右同名半盲,漢字の失書失読,感覚障害が後遺した.側脳室近傍のAVMの治療では視放線への損傷を回避する工夫が必要であり,Viewsiteを用いることで視放線の損傷を低減できる可能性がある.

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