脳卒中の外科
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動静脈奇形に対するアプローチ
井上 洋中村 正平戸 政史川島 康宏根岸 正敏曲沢 聡堀越 悟柴崎 尚甲賀 英明大江 千廣安藤 義隆
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1992 年 20 巻 5 号 p. 359-364

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抄録

1991年5月末より9カ月間に24例の動静脈奇形を経験し, うち22例をガンマナイフ手術にて加療した. これらの経験より動静脈奇形の治療方針について検討した. ガンマナイフでの治療はきわめて安全で, 患者は治療翌日より術前と同様の活動が可能であった. しかしながらガンマナイフ手術中および術後7カ月の各1例で,動静脈奇形からの出血があり直達手術により救命されたが, 脳内出血による脳損傷のために後遺症が残存した. 動静脈奇形の理想的治療としては可能な限り早期の完全消失が望ましく, 直達手術や血管内手術は今後も重要な治療法であり, 特に脳内出血を伴う例の早期治療に必要である. 血管内手術の進歩により大きな動静脈奇形に対するアプローチが可能となったが, 機能的領域に存在する場合には血管内手術の危険性はいまだ高い. nidusをいくつかに分画し, 各々を独立した50%等量線にて治療するガンマナイフ手術が今後役立つと考えられる. この方法には選択的血管撮影とMRIが有用であるが, 残存するであろうnidusに対する二期的なガンマナイフ手術が予定される必要がある.

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© 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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