システム・ダイナミクス
Online ISSN : 2434-2025
日本の銀行業界における貸出行動の考察
システム・ダイナミックスによる意思決定分析
中里 成実
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 17 巻 p. 31-45

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抄録

銀行の貸出行動は実態経済と密接な関係があるとされ、一般的には景気上昇局面において貸出は増えると考えられている。しかしながら日本の銀行の預貸率は、アベノミクス(2012年)以降の景気上昇局面においても伸び悩みを見せている。各銀行が貸出可能額に対して様々な要因を検討し、貸出範囲を決定することは、銀行経営における重要な意思決定である考えられる。そこで本研究ではこの統計に表れない銀行経営における意思決定(リスク選好度)に焦点を当て、その原因を探るためにシステム・ダイナミックスの手法を用いて銀行業の貸出モデルを作成し、1997年から2017年までの20年間の貸出行動を観察した。その結果、この20年間の貸出可能額に対する貸出の割合は、70-60%と一定の範囲に止まっているが、特に2006年以降は低位に留まっていることが示唆された。

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© 2019 システム・ダイナミックス学会日本支部
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