システム・ダイナミクス
Online ISSN : 2434-2025
日本の銀行業界の資産運用に関する考察
システム・ダイナミクスによる資産運用メカニズムの分析
中里 成実
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 18 巻 p. 17-32

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抄録

現在(2019年)は景気拡大期と言われており経済指標も良好であるから、銀行業にも追い風が吹いているはずだが、近年、新聞報道などで金融機関の業績悪化の記事を見かけることが増えている。一般的に銀行経営は景気動向と金利水準に影響を受けるとされるから、金利水準は近年低水準で推移しているから、景気拡大期であったとしても、低金利の影響で業績が停滞することは理解できるが、それ以上に業績が悪化している理由はなぜだろうか。そこで本稿では銀行業をモデル化し、主要な収益事業である貸出金や有価証券投資に関するメカニズムを検討し、企業業績に影響を与える要素を明らかにした。観察期間は1997年から2017年までとし、研究対象は都市銀行と第二地銀を除く地域銀行とした。 その結果、業績悪化の原因は、一般的には長期にわたる貸出金利の低迷であると言われるが、それだけではなく、貸出を補う収益事業である有価証券投資の利回りも急速に低下しているため、貸出にも有価証券投資にも回らない現金が急速に増えていることがシミュレーション結果から示唆された。現金は預金引き出しのための準備金であるが、銀行にとっては、預金は利払いを行わなければならない負債であり、銀行経営にさらにマイナスの効果を与えていることが示唆された。

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© 2019 システム・ダイナミックス学会日本支部
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