物理探査
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論文
地球物理学的観測により明らかになった桜島火山の構造とその構造探査の意義
井口 正人
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2007 年 60 巻 2 号 p. 145-154

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抄録

桜島火山は姶良カルデラの南端に位置する後カルデラ火山である。これまで,火山爆発を予測するために多くの観測がなされており,それに伴い火山の構造,特にマグマ供給システムの構造が明らかになってきた。1914年の大正噴火に伴う顕著な地盤の沈降,1955年以降の山頂噴火に伴う地盤の隆起と沈降,1993年以降の再隆起を引き起こした圧力源は,姶良カルデラの下深さ10km付近に求められており,桜島の主マグマ溜りは姶良カルデラの下にあると考えられる。桜島における地盤の上下変動の詳細な測定から現在活動中の南岳の直下にも圧力源が推定されることから南岳直下にも小さいマグマ溜りがあると考えられる。爆発の数分から数時間前に捉えられる桜島の地盤の隆起・膨張を示す傾斜ベクトルの方向は南岳の火口方向を示すこと,南岳の直下を通過する地震波は,異常のない部分にくらべて 1/10以下と著しく減衰し,その減衰域は南岳直下の半径1km程度の領域に限られることからも桜島南岳直下のマグマ溜りの存在を確認できる。また,ガスの膨張・収縮によって発生するB型地震・爆発地震の震源が火口直下において鉛直方向に分布することはマグマ溜りと火口をつなぐ火道の存在を示す。2003年には南南西部においてA型地震が多発したが,地盤変動の特徴から見ると南南西側からマグマが直接上昇したと考えるよりも,姶良カルデラ下のマグマ溜りの膨張に伴うその周辺での歪の開放あるいは,桜島直下および南南西へのダイク状のマグマの貫入過程でA型地震が発生したと考えるほうがよい。このことを確かめるためには人工地震探査を行い,地震波速度,減衰,散乱・反射の状態から姶良カルデラ下のマグマ溜りと南岳直下のマグマ溜りをつなぐマグマの通路を調べる必要がある。

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© 2007 社団法人 物理探査学会
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