物理探査
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技術報告
熊野灘3D地震探査データ取得及びデータ処理
浦木 重伸木戸 ゆかり真田 佳典倉本 真一岡野 正佐賀 肇朴 進午グレゴリー ムーア平 朝彦
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2009 年 62 巻 2 号 p. 277-288

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抄録
 統合国際深海掘削計画 (IODP) の枠組みのもとで、紀伊半島沖の熊野灘海域において地球深部探査船「ちきゅう」による最初の科学掘削が2007年9月より開始された。IODPは2003年10月以来、22カ国が参加している国際的な科学掘削計画であり、その挑戦のひとつに、巨大地震発生のメカニズムを解明するために、地震発生帯を貫通する掘削が計画されている。この掘削に先立ち、安全で効率的な掘削に対する障害の評価、および付加体の詳細な特質の理解を目的として2003年に2次元地震探査が行われた。しかし、その2D地震探査断面図は、この地域の海底地形及び地質構造が複雑なため、地下構造が明瞭に可視化されていない。この品質を補填するために、2006年に、物理探査船M/V Nordic Explore号(PGS社)により高精度3次元地震探査を実施した。調査海域は航路から外れているため航行船舶は少なく、漁業活動も完全に調整されたが、南部に非常に強い海流である黒潮が流れており、データ取得・データ処理の両方に影響した。CGGAP社(現CGGVeritas社)で行われたPre-Stack Time Migration (PSTM) を含む基本処理について、データの特性である次の点に重点が置かれた。それは、波浪ノイズの抑制・多重反射波抑制・不規則なデータ取得ジオメトリの対応である。結果として得られたサイスミックキューブは、浅層部の地質情況、及び深部ターゲットのいくつかについて、明瞭な地下構造の可視化に成功した。本地震探査データは、「ちきゅう」による科学掘削に必要な情報を提供したばかりでなく、当該海域の研究にも貴重な情報を提供するものである。
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© 2009 社団法人 物理探査学会
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