抄録
国内に広く分布する堆積性軟岩の岩石モデルの構築を目的に,新第三紀の砂質泥岩で取得された検層速度,密度,間隙率データに粒状体モデルの1つとして提案されている二粒子岩石モデルのうちの砂質頁岩モデルを適用し,その評価を行った。二粒子岩石モデルは,2つの異なるサイズの粒子(砂と粘土)の混合体として岩石を表し,粘土の含有率の増減により間隙率や弾性波特性の変化を表すモデルである。堆積性軟岩は,粒度組成によりその諸特性が変化することが知られており,そのモデル化に適していると考え適用した。4地点で取得されたサスペンションPS検層によるP波,S波速度と密度から計算した弾性係数と間隙率の関係をベースにモデルによる計算値と実測値を比較した。得られた岩石モデルを用いて,S波速度と密度の実測値から粘土含有率と間隙率を予測し,室内試験での実測値との比較を行った。その結果,砂質頁岩モデルにより,堆積性軟岩における深度依存性を含む粘土含有率と間隙率の違いによる弾性波特性の変化を表現できることが確かめられた。