物理探査
Online ISSN : 1881-4824
Print ISSN : 0912-7984
ISSN-L : 0912-7984
論文
比抵抗トモグラフィによる堆積軟岩の原位置加熱実験に伴う高温域進展状況のモニタリング
窪田 健二鈴木 浩一池野谷 尚史高倉 望谷 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 62 巻 5 号 p. 531-542

詳細
抄録
 地盤の温度や力学特性,透水特性などの影響による堆積軟岩の長期挙動特性を把握することは,堆積軟岩中に放射性廃棄物を処分する場合における一つの重要な課題である。特に,廃棄体の発熱による高温状態が,地下水や堆積軟岩の挙動にどのような影響を与えるかについて明らかにされていない。この影響について,フィールド規模での評価を行うため,堆積軟岩の原位置加熱実験を実施した。
 深度50mの横坑底部に円筒形の孔(直径30cm,高さ60cm)を掘削し,孔内に満たされた水をヒーターで加熱させ,周辺地盤の温度やひずみの変化を測定した。加熱による堆積軟岩への影響について評価するには,その影響領域を可視化できるモニタリングを行う必要がある。比抵抗は温度に応じて変化することが知られていることから,比抵抗の変化をモニタリングすることにより,加熱域の進展状況を可視化できる可能性がある。そこで,比抵抗トモグラフィ法を用いて,堆積軟岩への加熱域の進展状況をモニタリングすることを試みた。
 加熱時における比抵抗トモグラフィ繰り返し探査を行った結果,ヒーター孔及びその周辺部において比抵抗が低下し,加熱が進むにつれてその領域が徐々に広がることが明らかになった。試験サイトのコア試料を加熱した室内実験においても原位置試験とほぼ同様の比抵抗の低下が確認できたとともに,その低下傾向は水溶液の温度と比抵抗との関係を示した既存の実験式とほぼ整合していた。さらに,本試験では温度変化以外の要因による比抵抗変化はほとんどないことが推定される。従って,温度変化に伴う比抵抗変化を捉えられた可能性が高いことが示された。このように,比抵抗トモグラフィにより,温度が変化する領域を捉えることができたことから,地層処分の操業時において,廃棄体の発熱による影響領域を簡易にモニタリングする手法として,同手法の適用が期待される。
著者関連情報
© 2009 社団法人 物理探査学会
前の記事 次の記事
feedback
Top