物理探査
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論文
バーティカルケーブル方式反射法地震探査(VCS)の開発
淺川 栄一村上 文俊岡本 拓関野 善広三ケ田 均武川 順一志村 拓也
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2011 年 64 巻 4 号 p. 267-277

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抄録
 バーティカルサイスミックケーブル方式反射法地震探査は,海底面から鉛直上方に受振器 (ハイドロフォン) を配置し,水中震源により音波 (地震波) を発生させ,この音波が地下に伝播し,地層境界からの反射波を記録して,海底下構造を調査する手法である。一般的にVCS(Vertical Cable Seismic)と略称されている。VCSは,海底熱水鉱床探査の対象領域と想定される比較的狭いエリアでの三次元反射法地震探査としては,非常に優位性があり,現在,文部科学省「海洋資源の利用促進に向けた基盤ツール開発プログラム」の中で海底熱水鉱床探査システムとして,データ処理・解析技術も含めた総合的な探査技術として研究をすすめている。
 平成21年度には琵琶湖においてVCSのジオメトリを実現しフィージビリティスタディとしての三次元調査を実施し,地下構造の高分解能な三次元ボリュームを得ることができた。この結果を受けて,平成22年度には自律型探査システム二式を試作し,実海域におけるシステム性能・運用試験を経た上で,海底熱水鉱床の存在が示唆される沖縄伊平屋海丘海域において深海曳航型震源を用いた海域実験を実施した。本実験では,水深1,000mでの投入・回収方法,バーティカルケーブルの位置の計測方法を検証した。また,深海曳航型震源との組み合わせで取得されたデータは,海底下からの反射波をとらえており,海底熱水鉱床が存在する深海環境下で,システムが十分な性能を持って正常動作することが確認できた。しかしながら,データ処理段階では,受・発震の位置精度向上などの課題が抽出されており,今後,水中測位技術や精度良い投入・回収方法の確立なども含めたトータルな探査システム構築の必要がある。平成23年度は,高分解能な海上震源と組み合わせた調査と海底震源と組み合わせた調査の二度の実海域調査を計画しており,VCS探査技術の実用化を図る計画である。
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© 2011 社団法人 物理探査学会
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