物理探査
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特集「宇宙線ミュオンを利用した地下探査の新潮流」
特集「宇宙線ミュオンを利用した地下探査の新潮流」
松島 潤
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2018 年 71 巻 p. 126

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抄録

宇宙線ミュオンの透過性を利用して物体内部の密度分布を可視化技術する技術(ミュオグラフィ)は,1955年に地下の密度情報推定手法として初めて適用されました。その後,測定装置の可搬性が高まるとピラミッドや火山を透視することに適用されてきました。近年,さらなる測定機器の小型化や高精度化などの測定技術の革新により,適用分野の拡大と新潮流の形成へ世界的関心が高まっています。とりわけ,地下探査分野においては石油・天然ガス資源あるいは鉱物資源の探査技術の高度化,老朽化する社会インフラの劣化モニタリング技術としての適用などが積極的に検討されています。このような発展を遂げてきたミュオグラフィ技術の,既存の探査体系への導入可能性,新規分野への適用性を考える機会として本特集を企画いたしました。本特集では,宇宙線ミュオンを利用した探査技術に関係する,新技術の紹介,適用事例の紹介,技術課題の抽出と解決法,既存探査スキームとの融合・体系化などの幅広い内容から構成されています。近年のミュオグラフィの飛躍的な向上を把握いただくとともに,技術的な課題の抽出と解決法に関しての議論と理解を深める機会となり,最終的に新潮流が様々な果実に結びつくための一助になれば幸いです。

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© 2018 社団法人 物理探査学会
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