物理探査
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論説
土木分野への物理探査の利用動向と将来展望
尾西 恭亮
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2024 年 77 巻 p. sp50-sp60

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抄録

 公共業務実績を収集したデータベースであるテクリスを用いて物理探査の利用件数を分析した。この集計は,非民間業務の土木分野に限定した統計情報となる。この結果,最近10年では土木分野への物理探査の利用件数は増大傾向であることがわかった。特に利用の多い手法は,地中レーダ探査,磁気探査,PS検層であり,利用の拡大もこれら3つの手法が多い。そして,これに続き,屈折法探査,電気探査,表面波探査,常時微動測定の利用件数がこの順で多い。また,地盤や岩盤の調査を対象とした利用が全体の半分以上を占めることがわかった。ここで,地盤ではPS検層が,岩盤では屈折法探査が主要な探査手法として,多く利用されていることがわかった。また,維持管理の用途が多くなっている傾向が読み取れた。土木現場において様々な対応方法がある中で,現在の土木物探は効率の向上が利用選択を受けるために不可欠となっている。しかし,古くから使われてきた手法は,横ばいかやや利用件数を減らしていることから,事業全体の生産性向上を図るためになくてはならない要素としての役割を増やさなければ,将来の利用数は縮小しかねない。本分析結果が将来の土木物探のあり方を考える基礎資料になれば幸いである。

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© 2024 社団法人 物理探査学会
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