社会経済史学
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東京府機械関連工業集積における関東大震災の影響 : 産業集積と一時的ショック
今泉 飛鳥
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2008 年 74 巻 4 号 p. 345-367

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抄録
本稿の課題は,関東大震災により東京府の機械関連工業集積が受けた影響とそこからの復興過程の解明を通じ,都市工業史の研究に資すること,及びより一般的に一時的ショックに対する産業集積の反応という集積論の関心に実証的に応えることである。分析は,産業集積のもたらす肯定的な効果に着目しつつ,短期・中期2つのタイムスパンで東京市作成の工場名簿の記載データを比較することにより行う。その結果,郡部における工場数増加と並行して,震災被害の特に甚大であった東京市内の機械関連工業集積が中期的には回復を遂げたことが確認される。すなわち,従来の研究は震災で特に被害の甚大であった市内から郡部へ産業が拡散したという印象を与えてきたが,こうした見方が正確性を欠くことが明らかとなる。さらに,被災地への帰還傾向や復興需要による活況,復興事業などの震災後の動きを俯瞰し,一時的ショックが直ちに集積主体を拡散させるわけではないことを確認する。そして復興過程を,ショックを生き延びた集積主体が産業集積の各効果の弱化に対処する過程として捉えることで,集積回復の成否を規定する要素を考察する。
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© 2008 社会経済史学会
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