社会経済史学
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日本中世後期の掛取引について
高木 久史
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2009 年 74 巻 5 号 p. 469-485

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抄録

日本中世における債権・債務・信用一般に関する実証分析は少ない。本稿では信用の中でも商業上の信用の問題,具体的には掛取引について論じる。方法としては,非経済的側面との関係(例えば政治史)に触れながら,中世後期とくに15世紀から17世紀初頭にかけての掛取引の事例検出,とくに16世紀前半を中心とした事例検出を行い,時代的特徴を示す。とくに中世後期については徳政に関する事例とそれ以外とに分けて論じる。結果,徳政にかかる売掛金の扱いに関する商人慣習法の存在と幕府徳政令によるその追認,一方での各徳政令における売掛債権破棄志向(戦争等を契機とする債務者救済の特別措置によるもの)等を示す。実態面では,高額・長距離掛取引の実施,支払期日観念ならびに期日超過に伴う利子支払特約の存在,売掛債権の文書化,年市的性格をもつ京都馬市での掛取引の実施,当事者相互の売掛金の持ち合い,国質・所質名目での売掛金取立の実施(とそれを拒否する動向),等について示す。全体としては,概して遅くとも15世紀後半以後における掛取引の広範な実施,ならびに近世初頭までの継続的な実施を示す。

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© 2009 社会経済史学会
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