社会経済史学
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戦前期日本における私立精神病院の発展と公費監置 : 「精神病者監護法」「精神病院法」下の病床供給システム
後藤 基行
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2012 年 78 巻 3 号 p. 379-402

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抄録

本稿の目的は,近代日本の精神医療政策史における公的関与の実態と仕組みを分析し,それを通じてわが国の精神医療供給が,何故に民間病院へ過度に依存することになったのか,その歴史過程を明らかにすることである。これにより,近代日本の精神医療史を,病院の発展系という観点から捉え直し,戦前戦後を貫く精神医療供給の構造的な連続性を提示していく。こうした体系の把握により,なぜわが国の精神医療は民間病院に依存し,なぜ長期入院や大規模収容が行われてきたのか,その原因の一端が,病床供給の構造という歴史的見地から,ある程度まで包括的に説明可能となるはずである。以上のような現代的意義を意識しつつ,本論では,日本最初の精神医療関連法である精神病者監護法に定められた公費監置の実態と,これを外部に委託できる「委託監置」の仕組みに着目する。なぜならば,この公費での患者収容を私立病院へ委託するシステムが,後の精神病院法にも承継され,戦前期において定着したことが,戦後の精神医療の体系にも重大な影響を与えていったからである。

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© 2012 社会経済史学会
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