2013 年 45 巻 p. 21-33
本論は,中国の大学で学ぶ日本語上級レベルの学習者を対象に,ロールプレイによる会話教育の効果を考察している。表現先行型ロールプレイを使った授業は,ややもすれば文法学習の場になりがちだが,段階的にレベルを上げていくことで,豊かな表現力を身につけることができる。一方,タスク先行型ロールプレイを使った授業は,会話に単調さや曖昧さが生じる恐れもあるが,緊張感を持続できる。したがって,言語運用能力の向上のためには,学習者のレベルやテーマにあわせてロールプレイを選択することが望ましい。