尚絅大学研究紀要 B.自然科学編
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熊本市の大気汚染について
24年間の二酸化窒素濃度測定結果から
中嶋 弘二
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2022 年 54 巻 p. 137-146

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抄録

熊本市の大気汚染状況を把握するために,熊本市内の幹線道路24地点を定点に決め,1996年から2020年の24年間,毎年,夏(6月)と冬(12月)に天谷式二酸化窒素濃度測定法による大気汚染測定を実施した。測定結果の最高値と平均値から熊本市の大気汚染の24年間の推移をグラフ化し,その状況について,分析,検討した。その結果として,(1 )夏の最高値は1996年の0.085ppm で,平均値で最も高かったのは同年0.052ppm であった。冬の最高値は2002年の0.113ppm で,平均値で最も高かったのは2003年0.071ppm であった。このことから1996年から2004年頃までは,熊本市内幹線道路の空気は「たいへん汚れている」状態であったと推察される。(2 )24年間の結果の推移から,夏,冬共に二酸化窒素濃度はしだいに低下,つまり熊本市の大気汚染は改善傾向にあることがわかった。(3 )冬の年次推移では,2019年0.027ppm から2020年は0.037ppm と上昇していることから2021年冬の測定結果が注目される。

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© 2022 学校法人尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
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