1988 年 32 巻 2 号 p. 71-74
エルトール型コレラ菌のコレラ毒素産生性を調べるのに適当な培養方法を検討するとともに, 由来の異なる菌株の毒素産生性を比較する目的で実験を行った。ヒト, 患者宅周辺の環境及び河川水から分離されたエルトール型コレラ菌20株を, Casamino acid yeast extract 培地, Syncase 培地, Yeast extract 培地, AKI培地を用いて培養し, 上清中のコレラ毒素を逆受身ラテックス凝集反応によって測定した。その結果, エルトール型コレラ菌は, AKI培地を用いて37C, 4時間静置培養後, 18時間振盪培養した場合に最も高い毒素産生を示すことが明かとなった。ヒト由来の7株中6株と患者宅周辺の環境から分離された4株全てが毒素産生を示したのに対し, 河川水由来の9株においてはコレラ毒素の産生は認められなかった。