生活衛生
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大気汚染物質のヘルス・リスク・アセスメントにおける人への実験的負荷研究の役割
香川 順
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1997 年 41 巻 2 号 p. 45-54

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抄録

大気汚染物質のヘルス・リスク・アセスメントは、疫学研究、人への実験的負荷研究、動物暴露研究や臨床医学的研究などからの情報を基に行われる。
我が国では1970年に光化学スモッグ事件が発生し、光化学大気汚染との関連が問題になった。この問題を解決するためには、観察された健康影響は、そのときに発生している光化学大気汚染に因果的に関係しているのか、しているとすれば、どのような汚染物質が主に関係しているのか、その量・影響 (反応) 関係や発生率などに関する情報が必要で、これらの情報を得て光化学大気汚染と健康影響の関係を判断・評価することをヘルス・リスク・アセスメントという。
本稿では、この問題を疫学調査と人への実験的負荷研究から調べ、光化学スモッグ事件で観察された気道刺激症状は、主にオゾンで引き起こされることを明らかにした経緯を要約した。また、個々の大気汚染物質の短時間のガイドラインなどの設定に人への実験的負荷研究がどのように使用されているかも要約した。

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© 社団法人 大阪生活衛生協会
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