生活経済学研究
Online ISSN : 2424-1288
Print ISSN : 1341-7347
ISSN-L : 1341-7347
論文
学卒時の就業状態がその後の労働収入に与える影響
水落 正明
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 52 巻 p. 1-18

詳細
抄録

学校から仕事への移行過程が、その後の仕事からの成果に与える影響は、わが国において非常に大きいものとなっている。そこで本稿では「平成24年就業構造基本調査」(総務省)の個票情報を使い、学校卒業時の就業状態がその後の労働収入に与える影響について分析を行った。過去の就業状態と現在の収入の内生性に対処するために、操作変数法を用いて因果推定を行った。15〜39歳の男性を使った推定からは、学卒時に正規職に就けなかった場合、正規職に就けた場合に比べて60%程度、労働収入が低くなることが明らかになった。この負の影響は、就業状態間の単純な比較および最小二乗法による推定結果に比べてかなり大きなものとなった。さらに、正規職に就けた場合に比べて、無職だった場合には60%程度労働収入が低く、非正規に就いた場合には有意な差がないこともあきらかになった。これらの結果は、学卒時に正規職に就けない場合には不利な影響をもたらすが、非正規に就くことは、その後の労働収入、キャリア形成という観点からは有効であると言える。

著者関連情報
© 生活経済学会
次の記事
feedback
Top