抄録
法人税の増税が検討されているが、法人税の税率引き上げがあるとしても、経済学的な実効税率を維持または低下させる課税標準の改革を行う必要がある。その際、法人レベルに加えて株主レベルの資本所得税のあり方が重要になる。本稿では、とりわけ資金調達の中立性に着目し、Forward-looking型実効税率を用いた分析を行う。具体的な改革案はCBIT(Comprehensive Income Business Tax)、ACE(Allowance for Corporate Equity)、ACC(Allowance for Corporate Capital)である。本稿の分析結果によれば、CBITは、法人レベルでも株主レベルでも資金調達の中立性を確保するが、資本コスト、EMTR(Effective Marginal Tax Rate)、EATR(Effective Average Tax Rate)を引き上げる。一方、ACE/ACCは資本コスト、EMTR、EATRを引き下げる。法人レベルならばACEよりもACCの方が資金調達は中立だが、株主レベルならば資金調達の中立性はほぼ同じである。そのため、ACEとACCのどちらを採用するべきかは、実務的な観点を重視すべきであろう。その点、ACEは他国の導入実績があり、税率引き上げにともなう検討余地がある。