抄録
我が国では、消費者の決済手段としてキャッシュレス決済が浸透しつつある。キャッシュレス決済には生産性の向上が期待されており、我が国が抱える少子高齢化ならびに人口減少の問題に対する解決策として注目されている。しかし、事業者にとってキャッシュレス決済どのような付加価値を持つのかについてはあまり解明されていない。
そこで本稿では、アンケート調査をもとにキャッシュレス決済の導入に関する決定要因と、それが事業者側の経営成果に及ぼす影響について検証を行う。分析の結果、導入の決定要因については、経営者の年齢が高いほど導入しない傾向にあるが、その影響度は経営者の性別で異なることが明らかになった。導入の経営成果については、キャッシュレス決済比率が高いほど正の効果を認識する傾向にあるが、この効果はキャッシュレス決済比率が高まるにつれて逓減することが明らかになった。一方で、経営者の年齢が高いほど、また顧客の年齢層が高いほど正の効果を認識していないことが明らかになった。