日本生気象学会雑誌
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シンポジウム:ヒトは滅びるのか?-地球温暖化を考える
ヒトの高温適応
森本 武利
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2001 年 38 巻 1 号 p. 13-18

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抄録

ヒトの環境適応について低温環境と高温環境への適応について比較し,同時にヒトの進化過程における環境温との関係から考察した.ヒトの耐暑反応と耐寒反応を比較すると,ヒトは高温環境に比して低温環境により適応していると考えられる.過去の地球環境の変化と人類の進化の過程もこの低温への適応を支持するものであり,地球温暖化に対する人類の適応を考える場合,この視点が重要である.すなわち生理的な調節反応による高温環境への適応には限界があり,しかも現在の生活様式を維持しようとるとすると,冷暖房により環境温を生理的適応能の範囲内に調節するか,新たな高温適応能を遺伝的に獲得するかのいずれかが必要となる.前者の場合は大量のエネルギー消費を必要とし,地球の温暖化をさらに加速する可能性がある.一方後者の場合には,気候変動の速度と人類の遺伝子レベルによる適応能獲得の速度が問題となろう.

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© 2001 日本生気象学会
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