J-STAGE トップ  >  資料トップ  > 書誌事項

日本生気象学会雑誌
Vol. 39 (2002) No. 1,2 P 3-16

記事言語:

http://doi.org/10.11227/seikisho.39.3

原著

近年,地球温暖化あるいは都市の温暖化に呼応するように植物の発芽や開花,紅葉,落葉などの植物季節に変化が見られるようになった.例えば,イチョウ(Ginkgo biloba)やイロハカエデ (Acer palmatum) の紅葉日は年々遅くなってきている.しかし,最近のヒートアイランドに象徴される都市気候と植物季節の関係を調べた研究はいくつかあるが,サクラ(ソメイヨシノ-Prunus yedoensis)の開花に関してのものが多い(小元・青野,1990;増田・吉野・朴,1999).そこで,本研究では,都市の気温分布と秋のイチョウ,イロハカエデの紅葉(黄葉)現象との関係を熊谷市を例に調査した.都市気候が紅葉(黄葉)現象に与える影響を評価すること,さらには,これらの紅葉(黄葉)現象が地球温暖化も含んだ都市の温暖化などの気候環境を表す指標となりうるかどうかを探ることを目的とした.その結果,紅葉現象は都市の郊外部では都市の中心部より,イチョウは約2~3週間,イロハカエデは約1週間~10日早いという傾向が見られた.しかし,イチョウの黄葉日は,全体として,時期的なばらつきが大きく(最大で約3~4週間),同一の観測地域内で個体差がみられる.したがって,その黄葉現象に対しては,気温に加えて,植物学的な要因(発芽時期の違い,雌雄の違い)なども関わっていると考えられる.イロハカエデについては,紅葉日の分布はヒートアイランド現象が顕著であった夜中の気温分布とよい対応を示しており,ヒートアイランド現象が紅葉現象に影響を与えていると結論できる.よってイロハカエデの紅葉現象は都市の温暖化などの気候環境を表す指標として有効である.

Copyright © 2002 日本生気象学会

記事ツール

この記事を共有