人間と環境の関係を総体的に把握するためには,複数の環境要素を同時に対象とする複合影響研究が重要な役割を持つ.そのためには,個々の環境要素を共通の尺度上で表し得る非特異的な評価が有効な手段となる.同時に個々の要素の影響についても把握し,総合評価との関連を知ることもまた重要である.非特異的評価法の一つである総合的快適性を,アリストテレス以来指摘されている共通感覚のアナロジーとして捉え,その重要性について論じられる.また,これまで行われてきた総合評価を定量的に得た研究を概観し,これらに共通して認められる知見である排他的性質や,今後の課題・展開について述べられる.