日本生気象学会雑誌
Online ISSN : 1347-7617
Print ISSN : 0389-1313
ISSN-L : 0389-1313
原著
雲南市吉田町における伝統的町並みの室内・集落気候と住まい方に関する調査研究
長野 和雄高柴 日香小松 充典兼子 朋也堀越 哲美
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 45 巻 4 号 p. 141-164

詳細
抄録

島根県吉田町の 2 集落を対象に,集落気候と室内気候の実測,住まい方や生活実感に対する住民へのアンケート調査を行い,伝統的住宅自身が備える,あるいは住まい方の中に隠れた,地域気候に対する適応の技術を検証した.集落気候の空間的分布と経時的な変化を体感指標 ETV で評価した.これにより,山間部の起伏に富んだ地形によって大きく変化する日射量や風速の影響,時間や季節による放射や着衣の影響を詳細に捉えた.室内気象は,建物自身の熱的性能によってある程度緩和されつつも,その外界気象に応じて変化した.特に夏季については日射の影響が明らかであった.夏季は至適域よりも高く,冬季は至適域よりも低い室内気候が形成されていた.その室内気候に対する居住者の実感,暑さ・寒さの対処法の実態を明らかにした.夏季には,エアコンの使用を控えて扇風機の使用に留め,通風や着衣による調節,環境選択などのエネルギー消費を要しない手法を多用した,地域気候に適応した生活が展開されていた.冬季にはほとんどの世帯でコタツまたは炭コタツが多用されていた.開放式燃焼器具も多くの世帯で併用されていたが,間欠的に使用していた世帯よりも常時使用していた世帯の方がむしろ不満と感じていた.また,室内での着衣の多さなど,ここでも過度にエネルギーを消費しないよう工夫されていた.

著者関連情報
© 2008 日本生気象学会
前の記事 次の記事
feedback
Top