日本生気象学会雑誌
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原著
ドイツにおける健康関連分野での森林利用に関する研究
森田 えみ岩井 吉彌阿岸 祐幸
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2008 年 45 巻 4 号 p. 165-172

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抄録
ドイツには,約 390 の保養地があり,温泉型保養地,海洋療法保養地,クナイプ療法保養地,気候療法保養地の 4 種類に分類できる.森林内の歩行は,主に森林帯気候に属する気候保養地で,地形療法として行われていた.クナイプ保養地等での運動療法は,場所が森林か否かについては重要視されていなかった.ドイツの保養地では,森林内の歩行は医療の一部として実施されているものの,ドイツの医療全体から見れば一般的な療法ではなかった.更に,森林浴の概念はドイツでは知られてはおらず,ドイツと日本の両国では,森林と健康の関連の考え方や方法,目的は異なっていた.日本の森林浴は,森林や樹木が人体に良い影響を及ぼし,メンタル面での効用を重視しているのに対し,ドイツの地形療法での森林内歩行は,森林の立地条件や森林環境(日射,地形等)を利用し,主に運動による身体機能の改善を重視しているという違いが見られた.
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© 2008 日本生気象学会
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