日本生気象学会雑誌
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原著
中性温環境下における降雨と風が歩行運動中のヒトの体温反応及びエネルギー代謝に及ぼす影響
伊藤 僚山下 直之中野 匡隆山本 彩未松本 孝朗北川 薫
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キーワード: , , 体温, 代謝
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2010 年 47 巻 4 号 p. 149-156

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抄録

雨や風に暴露されると体温低下やエネルギー消費量が増加することが考えられる.そこで歩行運動中の雨と風がヒトの体温反応および代謝反応に及ぼす影響について検討した.7名の男性が歩行速度 1 m/s のトレッドミル歩行運動を中性温環境(CON),中性温+降雨環境(RAIN),中性温+風環境(WIND)でそれぞれ30分間実施した.3条件の環境温は24℃に設定した.相対湿度は RAIN(80~90%RH)を除いて 50%RH とした.RAIN の降雨量は 30 mm/h,WIND の風速は 3 m/s に設定した.歩行運動中は歩行速度と等しい向かい風を各条件で送風した.歩行中,直腸温は各条件とも緩やかに上昇した.RAIN と WIND の平均皮膚温は安静時から運動終了時にかけて約4℃低下し,CON と比較して有意に低い値を示した.安静時および運動時の酸素消費量,心拍数,主観的運動強度,血中乳酸濃度は条件間に有意差は認められなかった.これらの結果から,運動による熱産生と末梢血管収縮が熱損失を防いだと考えられ,中性温環境では雨と風が歩行運動中の体温反応・代謝反応に及ぼす影響は小さいことが明らかとなった.

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© 2010 日本生気象学会
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