日本生気象学会雑誌
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総説
熱中症予防対策の歴史
中井 誠一
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2011 年 48 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

熱中症は古くは坑内労働などの労働場面と軍隊で発生していた.熱中症予防に関する歴史を辿ってみた.最近では,熱中症を暑熱障害の総称として用いているが,明治以前は暑熱による病気は霍乱,中暑,暍病,暍死などの語が用いられた.1950 年代以降は,炭坑等で多発するため,熱中症が用いられている.日光照射がある屋外の労働や軍隊では日射病が用いられた.
1926~1940 年代の坑内では気温 34℃を上限としているが,1970 年以降のグラウンドで観測した温度では,乾球温度 33.5℃,湿球温度 24.0℃,WBGT 27.6℃であり,坑内温度と大差がない.また,対応策も 1937 年には 0.2~0.3%の食塩水を勧めており,経験的に塩分補給は常識的とされていた.労働衛生においは,作業環境管理,作業管理,健康管理,衛生教育による対策が職場においては行われている.日常生活においても熱中症予防のための保健教育の必要性を指摘した.

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© 2011 日本生気象学会
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