抄録
本研究の目的は,西日本の 4 地域で調査した夏の涼のとり方の実態に基づいて,地域差や涼のとり方の変化の要因について考察を行うことである.その結果,以下の知見が得られた.
1)打ち水,すだれ,夕涼み,夏の敷物,風鈴の実施状況は,地域や伝統・新興別の住宅地,年齢,居住年数と関連があった.2)これらの行為は「物理環境」や「生活スタイル・住まい方」など様々な要因が影響するものと,居住者の「意識・価値観」が大きく影響するものに分けられた.前者が減少した原因は 1994 年頃までのモノの普及に,後者は 1995 年以降の情報化社会等の影響によると思われる.3)窓開放の阻害要因は,住宅地によって異なる.伝統住宅地では物理環境,新興住宅地では防犯やプライバシーに関わる事が多かった.4)窓開放,冷房・扇風機使用は外界気象の影響が大きいが,同地域でも地区によって違いがあることから,外気象以外の要因も影響していると言える.