日本生気象学会雑誌
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原著
コーヒー豆由来クロロゲン酸摂取が冷水負荷後の末梢部皮膚温および皮膚血流に及ぼす効果
—プラセボ対照ランダム化二重盲検クロスオーバー群間比較試験—
野村 知子天野(吉田) 恭子中島 幸範高妻 和哉須摩 茜樋口 和彦杉山 義宣西村 直記
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2019 年 56 巻 2 号 p. 89-99

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抄録

クロロゲン酸はコーヒー豆に多く含まれ,血管機能改善作用を有することが知られている.本研究では,クロロゲン酸飲料の単回摂取が冷水負荷後の末梢部皮膚温および皮膚血流に及ぼす効果について検討した.健常女性24名を被験者とし,クロロゲン酸飲料(クロロゲン酸270mg含有)あるいはプラセボ飲料を用いたランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験を実施した.試験飲料摂取50分後に水温15℃の水浴に1分間両手を手関節部まで浸漬する冷水負荷試験を実施した際の指先の皮膚温と皮膚血流の変化を観察した.試験完遂者は21名であった.クロロゲン酸飲料摂取時の冷水負荷後の皮膚温の回復はプラセボ飲料摂取時と比較して有意に高く,同様に皮膚血流の回復もクロロゲン酸飲料摂取時に有意に高かった.以上の結果より,クロロゲン酸飲料摂取は冷水負荷により低下した皮膚温および皮膚血流の回復を早める効果があることが示唆された.

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© 2019 日本生気象学会
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