電子式WBGT測定器は安価かつ簡便なため広く普及しており,2017年には電子式WBGT測定器に関する規格であるJIS B 7922が制定されている.その一方で,ISO 7243(JIS Z8504)にて規定されている本来のWBGTとの測定原理の差異に基づく測定誤差の存在が指摘されており,その対策が急務となっている.本研究では,その測定誤差の要因を分析するとともに,有効かつ簡便な補正方法についての検討を行った.測定誤差については,自然湿球温度の推定において自然湿球の受ける日射の影響を評価できていないことが最大の要因であることが推察された.実測データを用いた自然湿球温度の推定式の比較を行ったところ,自然湿球の熱平衡式に基づく推定式によって,電子式WBGT測定器の測定要素を用いて日射の影響を加味した自然湿球温度の推定が可能となることが確認された.電子式WBGT測定器内部にて演算するためには有効かつ簡便な補正方法が必要となるが,黒球温度(Tg)と乾球温度(Ta)の差を用いることにより,簡便かつ比較的有効な補正を行えることがわかった.今後,本研究にて提案した簡易補正方法を活用することにより,より信頼度の高い電子式WBGT測定器が実現可能となると考えられる.