日本生気象学会雑誌
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姿勢の違いと日本人青年女性の安静時代謝量
藏澄 美仁山本 志津恵松原 斎樹
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1999 年 36 巻 1 号 p. 21-29

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抄録

日本人の生活空間の温熱環境を詳細に評価あるいは予測するために, 立位や椅座位, 平座位, 臥位といった生活空間でとる姿勢での代謝量が実験により明らかとされ, 各姿勢別の基準値が示された.実験には気温 (ta) が28℃の平均放射温度 (MRT) が気温と等しい (MRT=ta) 温熱環境条件が設定された.実験に用いられた姿勢は, 生活空間でとられる立位と椅座位, 正座位, 胡座位, 横座位, 立て膝位, 投げ足位, 側臥位の8種類が用いられた.被験者は健康な青年女性6名であった.着衣条件は上下セパレート型の水着のみのほぼ裸体で, 作業状態は安静とされた.代謝量の実測にはダグラスバッグ法が用いられた.椅座位姿勢代謝量の平均値±標準偏差は42.28±6.87W/m2であった.各姿勢の代謝量の平均値は, 立位姿勢時の代謝量が最も多く, 胡座位, 正座位, 横座位, 投げ足位, 立て膝位, 側臥位姿勢となった.従来の日本人を対象にした実測値と同様に, 立位や椅座位, 臥位の数値は欧米人の基準値とされているものより少ない値を示した.椅座位姿勢の代謝量を基準とした各姿勢の代謝量比は, 立位が1.187, 正座位が1.087, 胡座位が1.098, 横座位が1.026, 立て膝位が1.038, 投げ足位が1.062, 側臥位が0.922となった.椅座位姿勢に比較して平座位姿勢の代謝量は若干多くなることが示された.

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