農業生産技術管理学会誌
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トマトの子室褐変果の発生に及ぼす着果促進処理の影響
寺林 敏吉川 沙織伊達 修一藤目 幸擴
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2008 年 14 巻 3 号 p. 156-160

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抄録

子室の内果皮およびゼリー状柔組織表面が褐変する子室褐変果の発生と着果促進処理との関連,ならびに子室褐変果の形態的特長を明らかにすることを目的に実験を行った.品種'スーパー優美'を用い,園試処方の1/2単位および1単位濃度の培養液で水耕栽培した.開花時にトマトラン(有効成分クロキシホナック:4-クロロ-2-ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸ナトリウム)の500倍希釈液と2000倍希釈液,ジベレリンOppmと15ppmの組み合わせ,計4種類の混合液を散布処理した.培養液濃度の違いによる子室褐変果発生率への影響は認められず,トマトラン2000倍希釈+GA15ppm区の発生率が高かった(第1図).子室褐変果は健全果に比べ,果実頂部に小孔が空いているもの(小孔果)が多く(第3図),重量,子室数,がく数も多かった.処理に関わらず,小孔果は小孔のない果実に比べ子室褐変果の割合が高かった(第4図).以上の結果から,GAを添加した低濃度の着果促進処理液(トマトラン)の開花時処理が果実頂部の小孔形成と子室褐変の発生を促すことがわかり,同時に両症状の間に小孔が形成されると褐変果が増大するという密接な関連があることが推察された.

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© 2008 農業生産技術管理学会
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