生産研究
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研究解説
自転車の適切な速度支援のための‘オプティカルドットシステム’
韓 亜由美小野 晋太郎池内 克史佐々木 正人
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2014 年 66 巻 2 号 p. 155-160

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抄録

最近数年間の日本では,歩道や自転車歩行者共用道路での双方の衝突事故が後を絶たず,深刻な問題となっている.日本の自転車保有率は15.人に1台と高く,世界でもオランダやドイツに匹敵する水準である.本稿では,この課題に取り組むべく行った,自転車の速度制御を目的とした路面表示システム「オプティカルドット」による実験について報告する.同路面表示システムは,主著者が発案,開発したシークエンスデザインのひとつで,楕円状の列を成すマーキングの配置によって速度を制御し安全性の向上を目指すものである.はじめに高速道路における速度超過交通に向けて開発され,首都高埼玉大宮線本線の1カ所の上下勾配区間において,2008年2月の試験運用開始以来4年以上にわたって制御効果が持続している.今回は,制御対象が自転車であることから,より速度が遅く,視界が広く,駆動制動が直接的で時間が短いことを踏まえてパタンを再設計し,実車による被験者,サイクリスト10名の走行実験を行った.その結果,大および小の「オプティカルドット」配置区間では,無地の場合と比較して,区間走行100m地点の実測値で最大で約11km/h, 平均約7km/hの減速効果があった.他方,既存の路面表示に類する横断ライン配置区間では,無地と同等で減速効果が見られなかった.

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© 2014 東京大学生産技術研究所
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