2016 年 68 巻 6 号 p. 431-435
平成28 年(2016 年)熊本地震により木造住宅が甚大な被害を受けた.本研究室では,被害調査を実施しており,木造住宅の被害の傾向および伝統木造建築の構造調査の結果を示す.熊本市以南,特に益城町を中心に木造住宅の甚大な被害が確認された.破壊パターンは倒壊,1 階崩壊による破壊が多く認められた.熊本市内では伝統木造建築の被害が散見され,1 階の層変形などの被害が多くみられた.一方西原村では住宅被害だけでなく地盤被害も多く確認された.詳細調査を実施した伝統木造町家建築では,短辺方向に耐力要素が少なく南東方向への残留変形が非常に大きかった.しかしながら倒壊には至っておらず,今後はその要因分析が必要と考えられる.