2017 年 69 巻 6 号 p. 409-413
CFRP 複合材構造において致命的な衝撃損傷を検知するため,超音波ガイド波を用いた健全性診断システムの構築を試みている.そして,その際に重要となる超音波素子の最適配置を,波動伝播の有限要素解析により検討するため,本研究では,衝撃損傷の簡易モデル化法を検討した.具体的には,多数の剥離と亀裂から成る衝撃損傷を,擬似等方性の均質な円錐台領域に置き換え,その領域内の剛性マトリックスを低下させた.その低下率は,超音波速度変化の計測結果と断面観察結果に基づいて決定した.そして,詳細な多重剥離モデルと比較することで,本モデル化法の有効性を検証した.