2021 年 73 巻 1 号 p. 23-28
流体工学で用いられる典型的な乱流モデルであるk - ε モデルは,平均量を算出するに際し渦粘性係数を乱流エネルギーk とその散逸率 ε で表す渦粘性モデルである.ただし,k - ε モデルで再現できる流れ場は,レ イノルズ応力のひとつのせん断成分が支配的で,垂直成分が平均流れに寄与しない簡単な流れ場の場合である. k - ε モデルをそれより複雑な流れ場に適用できるよう拡張する一つの方法として速度ゆらぎと渦度ゆらぎの 相関量である乱流ヘリシティを用いる方法がある.流れ場に系の回転が加わるエクマン境界層では,乱流ヘリシティが出現する.本研究では,エクマン境界層のDNS データベースを使い乱流ヘリシティを予測し,それを通してレイノルズ応力に加わる補正項を定量的に算出し,その効果を考察する.