日本生態学会誌
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直線化された川の再蛇行化 : 分野間の協働について(<特集3>生態系科学における大規模野外操作実験)
河口 洋一中村 太士
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2005 年 55 巻 3 号 p. 497-505

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抄録

北海道東部を流れる標津川下流域では、国内で初めてとなる川の再蛇行化実験が実施された。実験は、直線化によって河道周辺に残された旧河道(河跡湖)の一つと、直線河道の再連結によって行われた。再蛇行化の前後に、直線河道と旧河道を村象として河道形状や地形に関する調査、藻類、底生動物、魚類に関する調査と安定同位体比による食物網構造の解析を行い、実験の評価を試みた。室内実験と再蛇行試験区での調査から、河道の分流部での流速分布や土砂の堆積を予測するモデルを組み立てた。再蛇行後の蛇行河道は、直線河道では見られない縦横断形状の変化が見られたが、水深、流速、底質といった物理環境要素は河道間で異ならなかった。再蛇行後、直線流路、蛇行流路ともクロロフィルa量は小さかったが、直線流路の堰き上げ下流部では著しく大きかった。蛇行流路(旧河道)の底生動物や魚類は、再蛇行化によって止水性から流水性に入れ替わった。底生動物にとって蛇行湾曲部の内岸側に形成される寄洲は重要な生息場であり、魚類にとっては外岸側で河岸浸食によって水中に倒れ込んだ樹木が重要な生息場であった。再蛇行前、直線流路と蛇行流路(旧河道)に生息する生物相の同位体比特性には違いがあり、両者の食物網構造は異なった。再蛇行化実験では個々の研究成果が得られ、現在は、個々の成果の補完や分野を横断する研究テーマの発掘を検討している。

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© 2005 一般社団法人 日本生態学会
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