2007 年 57 巻 3 号 p. 369-372
生理生態学の学問分野としての定義にはいくつかの異なる見解があるが、生態学への貢献でみれば、「解析対象とする生態学的現象の至近要因の解明」である。至近要因に関するブラックボックスを小さくすることで、より一般的な理解をもたらすので、普遍的な予測が可能になる。同時に、生物個体のふるまいの長所と短所、あるいは利益とコストの定量化を行うことで、究極要因の解明にも貢献する。分子生物学的手法は生理生態学にも有効である。生理生態学者は、ミクロ系の研究の動向にも目を向け、必要となったときにイニシアチブをもって研究グループを組織できる行動力が必要である。