日本生態学会誌
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特集 種分化における性選択と性的対立
植物での生殖隔離の進化における性選択と性的対立の役割(<特集>種分化における性選択と性的対立)
安元 暁子
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2009 年 59 巻 3 号 p. 301-311

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抄録

植物では動物と異なり種分化の原動力として性選択や性的対立はほとんど注目されてこなかった。本稿では受粉前、受粉後受精前、受精後の過程の順に、動物との違いや植物における性選択や性的対立についてレビューし、生殖隔離の進化との関連について議論する。受粉前の花による生殖隔離は、性選択や性的対立ではなく、以前と異なるポリネーター分類群へ花が適応することにより生じやすいと考えられる。受粉後受精前の過程は性選択と性的対立が生じやすく、特に激しい性的対立のもとで、急速な生殖隔離の進化が起こりやすい可能性がある。受精後の過程は哺乳類などの胎生の動物や子育てをする動物と良く似ており、栄養供給をめぐる性的対立がゲノムインプリンティングなどの進化を通して生殖隔離の進化に関与したのかもしれない。

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© 2009 一般社団法人 日本生態学会
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