日本生態学会誌
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特集 三宅島2000 年噴火後の生態系の回復過程
衛星リモートセンシングによる三宅島2000年噴火後の植生モニタリング(<特集>三宅島2000年噴火後の生態系の回復過程-巨大噴火に対する陸上生態系の応答-)
高橋 俊守加藤 和弘上條 隆志
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2011 年 61 巻 2 号 p. 167-175

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抄録

時系列的に観測した衛星画像を用いて、三宅島2000年噴火後の植生の変遷をモニタリングした。1994年から2009年にかけて、JERS-1/OPS及びTerra/ASTERによって観測された16時期の画像を用い、噴火前1時期および噴火直後2年まで、噴火後3〜5年、噴火後6〜9年の3時期分のNDVI画像に集成した。これらのNDVI画像をもとに、ISODATAクラスタリング法により教師無し分類を行った結果、NDVIの変遷パターンを分類することができた。分類された画像では、噴火後もNDVIの値が相対的に高く、噴火に伴う植生被害が相対的に少ない地域が認められた。これらの地域は樹林地を示しているが、NDVI値は徐々に減少する傾向が続いていた。一方で、噴火後にNDVI値が著しく減少し、その後増加に転じている、草地を示すグループが認められた。NDVI値の変化が植生のどのような変化に対応しているか検証するため、三宅島南西部の阿古地区において、噴火後に継続して実施されている11地点の植生調査の結果をもとに対応関係を評価した。植生構造を高木層、亜高木層、低木層、草本層に分け、それぞれの階層の植被率を合計した値とNDVIとの相関分析を行った。この結果、それぞれの階層の植被率を合計した値とNDVIにはいずれの時期においても有意な相関関係が認められた。ただし、それぞれの階層の植被率とNDVIの相関関係は、植生変遷の過程とともに変化し、一定でなかった。

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© 2011 一般社団法人 日本生態学会
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