日本生態学会誌
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特集:菌類・植食者との相互作用が作り出す森林の種多様性
散布後種子捕食と森林の種多様性(<特集>菌類・植食者との相互作用が作り出す森林の種多様性)
島田 卓哉
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2011 年 61 巻 3 号 p. 335-340

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抄録

どのような状況下で種子捕食者は植物の種多様性に影響を及ぼす可能性があるのかについて整理し、議論を行った。種子捕食が種多様性に影響を及ぼすメカニズムは、密度依存的採餌、頻度依存的採餌、競争優位種への選好的採餌、そして選好的採餌の時空間的異質性の4つに分類することが出来る。先行研究の整理によって、密度依存的採餌以外のメカニズムにおいては捕食者の広食性が成立の重要な前提となっていることが判明した。一方で、これらのメカニズムの相対的な重要性や、種多様性を形作る気候や土壌・地形条件、撹乱程度などの様々な生態学的なプロセスのなかで種子捕食者との相互作用がどの程度重要なのかといった問題については、理論・実証両面でほとんど研究が進んでいない現状が明らかになった。

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© 2011 一般社団法人 日本生態学会
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