日本生態学会誌
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特集2 代謝スケーリング理論
生態学のスケーリング理論 : クライバーの法則とフラクタル成長(<特集2>代謝スケーリング理論:個体生理と生態系をつなぐ統合的アプローチ)
小山 耕平福森 香代子八木 光晴森 茂太
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2013 年 63 巻 1 号 p. 91-101

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抄録

スケーリング関係とは、生物の体または器官のサイズと、それらのサイズに伴って変化する構造や機能との関係のことである。スケーリング関係は「べき乗則」で表されることが多い。本稿では、動植物の体サイズと表面積および代謝速度(個体呼吸速度または個体光合成速度)のべき乗則で表されるスケーリング関係について述べる。とくに、動物や植物の個体呼吸が個体重の3/4乗に比例するという「クライバーの法則」を中心に解説する。次に、これらのスケーリング関係を定量的に説明するための基本となる考え方として、相対成長(アロメトリー)、相似則およびフラクタル成長の3点について述べる。最後に、フラクタル成長に基づいたモデルの先駆例として代謝スケーリング理論(WBE理論)を解説し、スケーリング研究の今後の展望を述べる。

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© 2013 一般社団法人 日本生態学会
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