日本生態学会誌
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宮地賞受賞者総説
二生吸虫 : 宿主を操る黒幕の正体(宮地賞受賞者総説)
三浦 収
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キーワード: 寄生虫, 行動, 食物網, 外来種
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2013 年 63 巻 3 号 p. 287-297

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抄録
寄生虫とは、宿主の体内または体表に住みつき栄養を吸い上げるという、風変わりな生活をする動物や原生生物の総称である。寄生生活を送る後生動物の中で最大の多様性を誇るのが二生吸虫である。その多様性・遍在性とは裏腹に、二生吸虫は多くの場合1mm以下と非常に小さく、解剖なしに確認することが困難であるため、その存在は多くの生態学研究ではしばしば見落とされてきた。しかし、最近の研究で二生吸虫の生態を理解することの重要性が認識され始めた。二生吸虫が宿主の生態に重大な影響を与えることが分かり、さらにその影響は宿主集団及び生態系全体へも波及する可能性が示されたのである。本総説では、二生吸虫の生態に関わる最近の研究を紹介し、この寄生虫が持つ大きな可能性について解説する。
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© 2013 一般社団法人 日本生態学会
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