2014 年 64 巻 3 号 p. 215-221
近年、対象物からの反射を連続多波長で分光計測するハイパースペクトルリモートセンシングが生態系研究分野で注目されている。特に先進的な熱帯林の研究では、ハイパースペクトルリモートセングで得られた可視-短波長赤外波長の連続分光反射率データと多変量解析手法を駆使し、樹木の生産力や養分動態、樹種判別に関連した多種類の葉形質の非破壊・同時推定が可能になりつつある。葉形質の時空間変動の把握は気候変動の影響予測や生物多様性の評価においても重要であり、今後、地球規模のニーズに応えるためにも、幅広いバイオームでリモートセンシング研究の発展と生態系研究との一層の連携が期待される。